労働問題

当事務所では、労働者側・使用者側にかかわらず、ご相談をお受けしております。
労働者側については、解雇された場合の対応、賃金・残業代請求、セクハラ・パワハラなどの問題、退職金請求事件などを扱っております。
使用者側については、就業規則・雇用契約の作成・変更、人事・労務管理、従業員を解雇する際の対応や懲戒、従業員への損害賠償など、労働分野にまつわる問題を扱っております。

労働問題
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  • 使用者側(会社側)
    の皆様へ

労働者の皆様へ

解雇、雇止めに対する地位確認請求

我が国の法律では、労働者を保護するため、解雇(使用者側からの契約解消)は無条件ではできず、要件を満たす必要があります。
そのため、解雇にあった場合は、解雇の無効を主張して争っていくことになります。
ただ、残念ながら、弁護士が入って交渉をしても、一度された解雇が撤回される、すなわち職場復帰を勝ち取れることはほとんどありません。
そのため、職場復帰を目標にするのであれば、訴訟を行い、裁判所に解雇が無効であると判断してもらう必要があります。裁判所の第1審判決を勝ち取るまで、1~2年を要しますので、相当の労力と時間がかかります。私たちは、それでもなお不当な解雇を争いたい方を全力でサポートして参ります。
他方、解雇には不服があるが、何らかの金銭が支払われれば退職しても良いとお考えになる場合もあると思います。その場合は、交渉や労働審判によって争っていくことになります。交渉で解決する場合は数カ月程度、労働審判は申立てから4、5カ月で解決に至ることが多いです。早期解決を希望の方には、こちらをお勧めすることもあります。いずれにしても、事案の見通しや、手続き選択については、ご事情とご意向をお聞きし、丁寧にアドバイスいたします。

退職勧奨を受けている方

注意していただきたいのは、解雇に不満がある場合、「辞めざるを得ないな」と思っていても、会社から求められるままに自主退職をしてはいけないということです。自主退職をしてしまうと、雇用契約は終了してしまい、後でその効果を争うことは非常に困難になります。
退職勧奨を受けている場合でも、会社側と交渉することで、退職に伴う金銭給付を引き出せる場合があります。
勤務先から自主退職をするよう退職勧奨を受けている場合は、当事務所の弁護士が代理人になって会社と交渉いたしますので、ご相談ください。

割増賃金(残業代)請求

残業代については、まず残業代が発生しているかどうかの検討が必要になります。

1何が必要か

ご相談にあたり、まず必要になるのが、労働時間を証明する資料です。労働時間、すなわち、出勤時刻と退勤時刻は、労働者側が立証責任を負っているためです。たとえば、タイムカードや、出勤簿のコピー、入退館時刻のデータなど客観的な資料が望ましいです。
職場にタイムカードはあるが、退職してしまって手元には無い、という場合でもご相談ください。タイムカード自体があるのであれば、会社側に資料の開示を求めていくことができます。そのような場合は、ご相談の際は、だいたいどれぐらいの残業をしていたか、というお話をもとに、残業代を試算します。
そのようなものが無い場合は、PCのログイン記録、アプリでの記録、ご家族へのLINE記録などの資料も使える場合があります。
また、労働契約の内容が確認できる書類も必要になります。

  • 雇用契約書や労働条件通知書
  • 就業規則、賃金規定
  • 給与明細

これらの書類を見ながら、労働契約の内容を確認していくことになります。

2どのような手続で進めるか

まずは当事務所で残業代の計算をします。計算により出た金額を会社側に請求していくことになります。
請求をするのは、在職中でも構いませんが、在職中に会社側と交渉するのは気が引けるためか、退職後に請求される方が多いように思います。
退職後に請求する場合には、消滅時効に注意する必要があります。残業代は賃金発生日から2年(2020年4月1日以降に発生した賃金については3年に延長)で消滅時効にかかります。賃金債権は、月給であれば毎月給与支給日に発生しますので、2年前に支給された賃金まで未払残業代を請求できることになりますが、逆に言うと2年を経過した分から毎月消滅時効にかかってしまいます。消滅時効の進行を中断(時効の完成猶予)するためには「請求」をしていく必要があります。
退職してから請求をお考えになる方は、できれば退職前にご相談ください。交渉での解決が難しい場合は、交渉を打ち切り、労働審判又は訴訟により請求していきます。労働審判と訴訟のどちらを使うかは事案によります。
労働審判は3回の期日で審判まで至りますので、申立てから4~5カ月で解決に至ります。他方で労働審判は話合いの要素が強い手続になりますので、双方の主張が離れていて話合いでの解決が難しい場合(固定残業代が払われているで固定残業代の有効性が争いになる場合、管理監督者性が争点になる場合など)、そもそもの労働時間の認定に時間を要しそうな場合は労働審判での解決に不向きな場合があります。そのような場合は、時間はかかりますが、じっくりと訴訟により請求していく方が良い結果につながります。

3解決までにどれくらいの時間がかかるか

交渉であれば、ご依頼から1カ月~6カ月で解決に至ります。労働審判であれば、申立てから2~5カ月程度です。訴訟になる場合は、通常1年程度かかるものと思われます。ただ、判決まで行かずに途中で和解が成立する場合もあります。いずれにしても、ご相談の段階で、各手続のメリット、デメリットをご説明し、適切な戦略を提案いたします。

職場におけるパワハラ・セクハラへの対応、加害者や会社に対する損害賠償請求

パワハラ、セクハラの場合は、事情を細かくお聞きし、どの事実をもってパワハラ・セクハラと主張していくか、どのように立証していくかを検討することになります。事案によって進めたかや争点が異なる類型になりますので、まずはご相談ください。

会社からの損害賠償請求

退職や転職のタイミングで、元勤務先から、競業避止義務違反や守秘義務違反などを理由に損害賠償請求を受けることがあります。そのような義務の存在や義務違反を争える場合がありますので、ご相談ください。

その他の事案

その他、労働条件の切り下げ、退職金の請求、労働災害の場合の給付請求、損害賠償請求など多くの労働問題を扱っております。

解決事例

CASE 1残業代請求を提起。PCのログイン記録や手帳などを用いて労働時間を立証し、有利な和解に持ち込んだ

相談前

毎月40時間ほどの残業をしていた相談者。割増賃金を請求したいが、タイムカードなどがなく、会社から支払ってもらえないでいた。労基署に相談するも、会社は応じないままであった。

相談後

会社の支払意志がないことが明らかであったことから訴訟を提起しました。労働時間の立証については、タイムカード以外での立証を検討することにし、パソコンのログイン・ログオフ記録や、携帯でのメール、手帳の記載などを証拠として提出しました。
また、会社が固定残業代で支払済みとの主張を展開してきたため、過去の裁判例を調査し、固定残業代としては無効であるとの反論を行いました。
裁判所も労働時間の立証を認めたうえ、固定残業代についてもある程度こちらの主張を認め、請求内容を酌んだ和解案が提示され、和解による早期解決を導くことができました。

岩田 裕介弁護士からのコメント
岩田 裕介

タイムカード以外にも就労の事実を示す証拠はたくさんあるはずです。そのなかにも証拠力の程度の差はありますが、一緒に検討することで客観的な証拠を収集・抽出することができました。
また、会社からは「固定残業手当を支給していたから割増賃金は生じない」という反論もなされましたが、弁済の抗弁としての要件を満たさないとの反論をすることができました。

CASE 2解雇無効の判決を獲得、解雇時からの未払給与も認められる。

相談前

ある会社で働く従業員からの相談です。 突然、会社から解雇されたとのことで相談に見えました。 懲戒解雇及び普通解雇の無効を主張し、訴えを提起しました。

相談後

懲戒解雇及び普通解雇に理由がないことを裁判において主張立証し、解雇の無効を認める勝訴判決を得ました。また解雇時から未払いだった給与の請求も認められました。 控訴審、上告審でも勝訴しました。

岩田 裕介弁護士からのコメント
岩田 裕介

解雇事案では、解雇事由の主張立証責任は会社側が負いますが、従業員の側でも会社側の主張立証に反論していける言い分と裏付け資料が必要になります。この依頼者は非常にしっかりした方で会社側の主張を覆す資料をきちんと準備できたため、完全勝訴の結果を得ることができたと思います。

CASE 3訴訟により残業代380万円を獲得

相談前

営業職の相談者からのご相談で残業代請求をすることになりました。時間外労働に対する賃金が払われていなかったり、基本給を無断で引き下げられているなどして未払い賃金があると思われました。

相談後

退職後、会社宛てに内容証明通知書を送付し、残業代を請求する旨及びタイムカード等の書類の開示を要求しました。開示された資料を基に残業代を請求しましたが、低額な対案しか出されなかったため、訴訟提起しました。 訴訟では、労働時間性や基礎賃金額、賃金減額の効力等が争われましたが、結果として380万円での和解が成立しました。

岩田 裕介弁護士からのコメント
岩田 裕介

相談者が残業代請求に備え、時間外労働をしていたことや当時の業務内容について記録をとっていたことから、こちらの立証がうまくいき、裁判官に有利な心証を抱かせることができた事案でした。

CASE 4解雇(雇止め)が無効であるとの裁判所の判断を前提に、18カ月分の賃金相当額の解決金を得て和解した事案(訴訟)

相談前

雇用主から雇止めにあった方からの相談でした。提訴前に交渉しましたが、会社側は雇い止めを撤回する意向はなく、やむなく提訴に至りました。

相談後

労働審判も検討しましたが、事前交渉の会社の態度から労働審判では和解成立が見込めなかったこと、相談者に職場復帰の希望もあったことから、会社を相手に民事訴訟を提訴しました。 裁判では雇止め理由がないことを主張立証しました。詳細に書くことはできませんが、その他の難しい争点もあったため裁判は長期化しましたが、最終的に裁判所が雇止めは無効であるとの心証を書面で示し、無効であることを前提とした1年半分の賃金相当額の解決金を支払うという内容で和解に至りました。

岩田 裕介弁護士からのコメント
岩田 裕介

本件は会社側の工夫もあって、通常の雇止めではなかったため、非常に争いにくいものでしたが、あきらめずに訴訟し、ほぼ勝訴に近い内容での和解が勝ち取れた事案でした。

労働問題の報酬について

【労働事件一般(解雇その他)】

原則として、以下の報酬により対応しております。事案の難易等によって変動がありますので、ご相談時にお見積もりいたします。

種別 着手金 報酬金

交渉で解決した場合

10万円~20万円

解雇撤回を勝ち取った場合 30万円

+

得られた経済的利益が
300万円までの場合 16%
300万~3,000万円以下の場合 10%+18万円

労働審判で解決した場合

30万円

訴訟で解決した場合

40万円

【残業代請求(成功報酬型)】

残業代請求の事案については、完全成功報酬制にて対応いたします。事件着手時の着手金のご負担により請求を躊躇される方が多いためです。 回収金から成功報酬を頂戴しますので、事件着手時のお客様のご負担はございません。

種別 着手金

交渉で解決した場合

0円

獲得額の20%(最低報酬金20万円)

労働審判で解決した場合

0円

獲得額の25%(最低報酬金25万円)

訴訟で解決した場合

0円

獲得額の30%(最低報酬金30万円)

**なお、郵便代、印紙代等の実費は、別途ご負担いただきます(事件終了時に清算)。

使用者側(会社側)
の皆様へ

当事務所では、従業員の採用、雇用契約の締結、就業規則の作成・変更、労務管理、人事、退職や解雇など、雇用契約にまつわる問題について相談をお受けしております。スポットでのご依頼もお受けしておりますが、継続的かつ柔軟な法的サービスのため、顧問契約(月3万円~)の締結もお勧めします。

就業規則の作成・チェック

就業規則は、従業員との雇用契約の内容を明らかにするうえで必要不可欠のものです。また、就業規則に規定していなければ実現できない事柄もあります。
小規模な会社では作成していない場合も見受けますが、トラブルが生じた場合に不利な戦いになる可能性があります。既に就業規則なども作成している会社でも、一度、弁護士目線でのチェックを入れておくこともお勧めします。就業規則は単に規定していればよいというものでもなく、規定ぶりによっては会社に有利にも不利にもなる重要なものです。多数の労働紛争を経験した弁護士の目線から、「強い就業規則」の作成をサポートしております。

解雇・退職に関するトラブル

1従業員の解雇・雇止めについて

解雇や雇止めにまつわる紛争をサポートいたします。 解雇はいつでも自由にできるわけではなく、法律上要件があります。要件を満たさない解雇は無効と判断され、従業員の地位が復活するうえ、解雇時からの給与を支払う義務を負います。従業員を解雇・雇止めするにあたっては、要件を満たしているか慎重に検討する必要がありますし、解雇・雇止めまでにその要件を満たしていく必要があります。 従業員から争われた場合には、裁判所に対して解雇の有効性を説得的に主張立証していく必要があります。当事務所では、解雇・雇止めに関する紛争について、戦略的にサポートして参ります。

2労働審判を申し立てられた場合

解雇・雇止めを争う労働審判が申し立てられる場合、従業員側としては職場復帰を求めているというよりは、解雇に対する解決金を獲得して退職する、金銭解決を求めている場合が多いです。
この場合、裁判所が解雇は無効との心証をもってしまうと、解決金の額が上がってしまいますので、使用者側としては、解雇の有効性を適切に主張立証し、解決金の額をできる限り少なくするよう活動していく必要があります。
また、労働審判の場合、労働審判申立書が会社に送られてきた時点で既に第1回期日が指定されており、答弁書(反論書面)の提出期限も定められています。裁判所の裁判官・労働審判員は、事前に申立書と答弁書を読んである程度心証をもったうえで期日に臨みますので、答弁書提出期限までに会社側の主張を構成し、立証もできる限り尽くしておく必要があります。
さらに、労働審判の期日では、裁判所が当事者側にいくつも質問をし、それに対する回答で裁判所の考えを固めていきます。不用意な発言が不利に取り扱われてしまうこともありますので、期日に臨むにあたっては周到な準備が必要です。
労働審判が申し立てられた場合は、弁護士をつけて適切かつ速やかに反論準備をしていく必要がありますので、渋谷宮益坂法律事務所にご相談ください。

3訴訟を提起された場合

解雇を争う訴訟を提起された場合、従業員側は職場復帰を強く求めていることが多いです。
解雇の有効性が争点になる訴訟の場合、第1審で1年半~2年といった長期の訴訟になることも珍しくありません。
解雇が無効と判断された場合は、解雇した従業員を職場復帰させる必要があるうえに、解雇時から判決時までの給与(バックペイ)を支払う必要がありますので、会社側にとってのダメージはかなり大きくなります。会社側としては、解雇の理由と有効性を裁判所に理解してもらうべく、戦略的に訴訟を進めていく必要があります。

未払残業代請求

1残業代を請求されたら何をすべきか

通常、従業員からの残業代請求は内容証明郵便などの文書で届きます。
多くの場合は、既に退職した従業員や、解雇した従業員が解雇を争うとともに残業代を請求するというパターンが多いです。
請求時点から弁護士がついており、代理人の弁護士からの通知書ということもあります。
通知書には、「*月*日までに未払残業代〇円を支払ってください。支払がない場合には法的措置を取ります」といった内容が記載されています。
この場合、会社側としてはどのように対応すべきでしょうか。会社側としては、要求された金額を検討せずにそのまま払ってはいけません。
弁護士等専門家にご相談いただくか、通知書を送ってきた従業員又は代理人に対して「検討中なので少し待ってくれ」と連絡を入れ、法的に支払うべき残業代があるか、その金額はいくらかを検討する必要があります。なぜならば、残業代の計算は、雇用契約の解釈や、労働時間の認定の仕方によって、金額に数百万円の差がでることがあるからです。そのため、交渉の段階においても「この事件が裁判になるとすれば残業代がいくらになりそうか」という見通しを立てたうえで対応していくことが重要です。まずは、その従業員との雇用契約の内容を整理することから始めます。

  • 雇用契約書、労働条件通知書
  • 就業規則、賃金規定、労働協約
  • 賃金台帳、給与明細

といった書類を整理し、雇用契約の内容がどのようなものであったか、条件変更があるか、残業代について既払いがあるかなどを整理する必要があります。
そのうえで、残業代が発生しているかどうか、当該従業員の勤務状況を見ていきます。勤務状況がわかる資料としては、

  • タイムカード、入館記録
  • 出勤簿、シフト表
  • PCのログデータ、タコグラフ

などの記録により労働時間を調べていくことになります。
従業員側は、残業代を請求するにあたってタイムカードなどをコピーしている場合もありますが、タイムカードなどを所持しておらず残業代を請求する通知書の中で開示請求をしてくる場合があります。いずれにしても、会社側としては、従業員の勤務状況を調べて法的に発生しうる残業代の有無及び金額を計算したうえで、対応方針を決める必要があります。

2交渉で解決すべきか、訴訟等で解決すべきか

ある程度、発生しそうな残業代が判明したら、従業員側と交渉していきます。
従業員側と会社側で残業代の金額にそこまで差が無ければ交渉が成立する可能性が高いですが、差が大きい場合は、労働審判や訴訟などでの解決に持ち込まれることになります。
もっとも、従業員側としても、早期解決を希望していたり、証拠の強さなどで訴訟等に持ち込むことを躊躇し、当初請求よりは大きく譲歩してくる場合もありますので、そのあたりの温度感は交渉しながら判断していくことになります。
ただ、残業代の計算基礎となる給与額、固定残業手当の有効性、当該従業員の管理監督者性、労働時間の認定などが争点となる場合は、双方の主張する残業代額の差が大きくなりがちですので、交渉ではまとまらずに訴訟等での解決をするほかない場合もあります。
本来、雇用契約の内容や固定残業代の有無・有効性などは、争いが無いことが望ましいのですが、勤務しているときは納得していると思っていたのに、退職後、残業代請求をする段階になって、「そんなことは聞いていなかった」、「そのような規定は労基法の定める要件を満たしておらず無効だ」との主張が出てくることはしばしばあります。
そのため、会社側としては、労働条件を従業員が同意していたことや、労働条件が労基法に違反しないことを戦略的に主張立証しなければなりません。

3顧問契約について

1人の従業員から残業代請求を受けて支払う場合、他の従業員にも波及するリスクがあります。
未払残業代が発生してしまったことを反省材料とし、就業規則や雇用契約の見直し等を行っていく必要があります。顧問契約をしていただければ、残業代請求の対応をしつつ、改善点を洗い出し、今後の対応のアドバイスも可能になりますので、顧問契約の締結をご検討ください。