弁護士砂子昌利

2017.03.03更新

弁護士の岩田裕介です。

先日、ビジネスジャーナルというニュースサイトから、会社の飲み会の帰りに事故に遭った場合に労災になるか、というテーマでインタビューを受けましたので紹介します。

 

ビジネスジャーナル『会社の飲み会は「業務」に該当?帰り道での事故が労災認定される条件とは?』

http://biz-journal.jp/2017/02/post_18155.html

 

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内容については記事を読んでいただければと思いますが、若干補足をしておきます。 

 

労働災害には、大きく分けて「業務災害」と「通勤災害」の2種類があります。

会社の業務中に事故に遭った場合には、「業務災害」(労災保険法7条1項1号)という労災が問題となります。

他方、飲み会の帰宅途中の事故となると、基本的には「通勤災害」(法7条1項2号)になるかが問題となります。

通勤災害は、基本的には職場から自宅への途上での事故が対象となるので、職場ではない飲み屋からの帰り道の事故の場合は、「通勤」とは認められにくいのが実情です。

 

そのため、事故が労災となるためには、飲み会自体が業務性を有するものであった(=業務からの帰宅途上であった)ということが言えなければならない、ということになります。

 

この点、昨年の最高裁判例(最判平成28年7月8日・労判1145号6頁)は、会社の飲み会に参加した後に事故に遭った男性について、労災にならないと判断した第1審・控訴審の判断を覆し、労災の認定を認める判断を下しました。

上記のインタビューも、この最高裁判例を意識して取材されたものと思われます。

 

ただ、記事中でも言及しましたが、この最高裁の事案は、従業員の男性が上司の指示で歓送迎会に参加せざるを得ない状況にあり、参加後、参加者の男性を自宅に送り自身は職場に戻る途中で事故に遭った事案でした。

それゆえに、飲み会への参加及び飲み会後の送迎行為も業務であると認定され、「通勤災害」ではなく業務中の事故すなわち「業務災害」であると認定された事案です。

そのため、飲み会から自宅への帰り道に事故に遭ったといった事案には、そのまま適用できないという点に注意が必要です。

 

もっとも、最高裁が、会社が従業員に歓送迎会への出席を強く要請し、従業員が歓送迎会に参加しないわけにはいかない状況であったこと、歓送迎会自体が、会社の事業活動に密接に関連して行われたものであること、を認めたという点は、注目すべき点だと思います。

「会社からの要請だと飲み会への参加を断りにくい」という価値判断は、通勤災害の適用にあたっても影響を与えるのではないかと思います。

 

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今月は、歓送迎会の季節ですね。

事故に遭わないのが一番ですから、酔ったときは気を付けて帰るようにしてくださいね。

 

弁護士 岩田裕介

投稿者: 渋谷宮益坂法律事務所

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